鉢伏山(岡谷市)

2018.08.28 / 地域を知る / 編集部さん

岡谷市の最高峰、鉢伏山は高ボッチ高原の隣組くらいに当たります。
松本市との境あたりにもなります。

この日、松本側には北アルプスが一望の絶景が。
しかし、諏訪湖側からはわんわんと雲が押し寄せ…。

鉢伏山の眺望を楽しみにしてきた私に…いささかの暗雲。
IMG_20180826_071325

そう…あの雲の中に鉢伏山が…。
とほほ。
気を取り直して、まあ、行ってみましょうかねえ。

IMG_20180826_111923
なんと時間と共に雲は晴れ、山頂付近は360°のパノラマビュー。
美ヶ原王ヶ頭がよく見えます。

この眺望の良い草原広がる山は、かつては人が木を伐り、草原を維持できるように手を入れていました。
人が手を入れなくなった今でも、西から吹き付ける強風と冬の寒さでササを主とした草原が今でも保たれています。

ほかに、もういくつか、この山には人の気配の濃さがあります。

IMG_20180826_095829
山頂付近の一角。
諏訪湖の方を向いていくつかの石祠。
御柱もあります。
IMG_20180826_100850
不明瞭な文字が刻まれたものもありますが、「鉢伏大権現」「鉢伏太神」「小萩」「日本第一軍神」などなど…。
3つの祠は何の神が祀られているのかははっきりしません。

諏訪湖から岡谷市長地地区を流れる横河川を遡ると、鉢伏山を源としていることがわかります。

その途中、横河川がつくる扇状地の扇頂部(つまり扇の要にあたる部分ですな)には出早雄小萩神社があります。
いくつもの石造物のあるなかの「小萩」は、合祀される前の小萩神社のご祭神をお祀りいるかもしれません。
3つの祠のうちのいずれかは出早雄神社の御祭神の可能性もあります。
水源としての鉢伏山に神を見いだすことは不思議なことではないでしょう。

この鉢伏山山頂にはほかにも信仰の形跡があります。
IMG_20180826_095423
山頂に最も近い石祠は鉢伏神社。
松本から鉢伏山を見ると、ちょうどこの祠を拝む方向になります。
松本市内を流れる薄川もこの鉢伏山の麓から端を発する河川のひとつ。
里山辺地区の人々は薄川の源流部として鉢伏山を拝します。

ほかにも、塩尻市内田地区の人たちが雨ごいにやってくるという「鳴雷神」の大きな石の碑があったりします。
「鳴雷神」とは字のごとく雷の神。嵐を呼び雨を降らせるのです。

どうやらこの山は、多方向から水源の山としての信仰を集めていた形跡がうかがえるのです。

実はこの日、「suwazine 04 山の忘れもの」の発刊記念の山歩き。
IMG_20180826_093543
信仰の山をめぐるワンダートリップな企画なのでした。


今回ご紹介した鉢伏山のほかに、suwazineが廻った山は、
・霧ヶ峰
・北八ヶ岳
・入笠山
と、いずれも水のスタート地点となる山ばかり。
そして、どの山も自動車でのアクセスが容易で手軽に歩ける山ばかりです。

初秋のお山は静かで、あたたかい色に溢れます。
「suwazine 04」片手に散策など、とっても楽しいと思います。

最後にお世話になった鉢伏山荘さん。
小さな小屋は美味しいコーヒーの香りと…
意外や意外、茹でにこだわりのあるざるうどんでひといき入れることができます。
(ふり)
IMG_20180826_120217 IMG_20180826_120535 IMG_20180826_120653 PSX_20180826_123534

この記事につけられたタグ

|