守屋山へ(諏訪市)

2017.05.18 / 地域を知る / 編集部さん

守屋山は諏訪盆地の南西に位置する標高1,631・2mの山です。
杖突峠のてっぺんにある登山口に車を置けば、のんびり歩いて1時間半ほどで山頂へ到達できるお手頃コース。
芽吹き始めのころは木々の葉に視界を遮られることなく眺望が楽しめます。

5月のはじめ、仲間と一緒にのぼってみました。
登山道はしっかり整えられていて、ローカットのトレッキングシューズでも十分です。

いくらかの急登を経て山頂へ。
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山頂の西側には、鉄柵で囲まれた石祠があります。
「守屋神社奥宮」とされ、諏訪とは反対側の高遠町片倉地区の氏子が奉仕をしています。
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片倉地区の里宮では物部守屋神社とされ、拝殿の裏の長い石段の向こうに本殿を持ちお祀りし、守屋山にあるものはその山宮とされます。

この石祠には「干ばつの際、谷に転げ落とすと神様が怒り雨を降らせる」という言い伝えがあり、古くは雨乞いのために麓の村人がやってきて谷に落とし、それを氏子たちが元に戻すということが行われてたようです。
今はそのようなことはしませんが、昔をまねていたずらをされないために鉄柵で囲ったようです。
二振りの弓が供えられていますが、なんでしょうかねえ…。

守屋山の最高峰は「東峰」と呼ばれるところですが、実は尾根伝いに中峰、西峰、と連なっています。
西峰は…アレです。尾根伝いに行ってみましょう。

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そうそう、向こう側のちょっと平らに見える部分です。

途中にの中峰にはなんと…
諏訪地域ではあまり見られないブナの木があります。
芽吹きはもうちょっと先のようです。

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主に日本海側や北上山地の豪雪地域に群生し、瑞々しい明るい森を形成することで知られていますが、ここはこの周辺だけに分布する不思議な場所。
根元付近から枝分かれしているところを見ると、もしかしたら過去には薪とりに利用されたかもしれません。
もしかしたらこの辺りは昔はブナ林で、何らかの影響で今のようなミズナラなどの落葉樹に移り変わったのかもしれないと思うと、気候が変わったのか人のかかわりがあったのか…いろいろ想像をめぐらします。
西峰は東峰から30分もしないところ。
山頂が平坦でお昼を広げるにはいい場所です。
景色もいいぞー!
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諏訪盆地を一望します。
平坦な山は霧ヶ峰。
石器時代から黒曜石の産地として、また黒曜石の運搬ルートとして利用された山です。
ちょうど角間新田が見えて、あの辺りに縄文時代の遺跡が点在することを思い出しました。
山を下りながら彼らは道に迷わないように守屋山を目印にしていたかもしれません。今見えている平地の部分はほとんどが諏訪湖の湖底だったでしょう。

実は守屋山は南アルプスの山塊に属します。
火山ではなく、海底の隆起により形成をされたため、守屋山のある部分では巻貝や2枚貝の化石が採取できる場所があります。

ダイナミックな物語のいくつも持つ山、守屋山。
お手軽さも魅力です。
諏訪に住むなら、ぜひこの魅力に触れてみてはいかがでしょう。

ちなみにこんな小さな花たちにも出会えます。
タチツボスミレにコキンバイ。

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どちらも珍しい花ではありませんが、春のひと時だけ花を咲かせ、また姿をひそめる「スプリング・エフェメラル」。
小さな花に疲れた体もふわっとなごみます。

登山口はここから↓がオススメですよー。

(ふりはた)

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