海だった山。

2015.06.21 / 地域を知る / 編集部さん

守屋山。
特に八ヶ岳の裾に暮らす人には身近な山。
駐車場から1時間半も歩けば、東峰・西峰の両山頂からは諏訪盆地を一望。
そして山好きの人には「信州100名山」の一座としても 知られています。

意外なことに南アルプスの最北端の山であること。

そして、台湾から続く日本最大の断層である中央構造線がこの守屋山のあたりでいったん途切れ、フォッサマグナの西縁(糸魚川-静岡構造線)と交差することはあまり知られていないことです。
この守屋山の生い立ちにほんのちょっと触れる旅へ。
諏訪清陵高校の公開講座「三澤勝衛先生記念文庫連続講座~守屋山の生い立ち~」 にちょっとお邪魔してみました。

杖突峠での基本的レクチャーのあと、一行は守屋山西麓へ回りました。
ここは守屋山の成り立ちに直接触れることのできる貴重な場所。

大小の石が混ざった層があらわれています。
よくみると中央あたりで層が分かれているような様子も見えます。

実は、守屋山は日本列島の内陸部にありながら、過去海の底であったという経過を持ちます。
今から2400万年~2000万年前くらいに陥没を起こした陸地に海水が流れ込み、そこから1500万年間ほど海底に沈み海底火山の堆積物が積もりました。
ふたたび徐々に隆起し始めて海上に現れたのは約500万年前。
隆起の途中、ここが波打ち際だったときに陸地から流れ込む土砂(しかもはやい速度)でこの礫岩層はできたようです。

早い速度で土砂が流れ込んだこの層にはいろんな石が混ざってました。

手でもぼろぼろ崩せるくらいもろい石。


石のなかではやわらかい方だけど、そうはいってもカンタンには割れない感じ。
石の外側と内側で色が違うのは、含まれる物質により冷えて固まる温度が違ったり、空気の入り具合や酸化の具合などで起こります。(もっと複雑に層を持つものはちょうどタマネギの断面のように見えるので「オニオンストラクチャー」と呼びます。)

そしてこの礫岩層の上に積もった砂の層「砂礫層」には、ここが海であったという最もわかりやすいものがあります。
砂礫層が表面に現れる場所を探してみると…

二枚貝と思われる化石(モールド)

 


巻貝の化石(モールド)

守屋山は標高1651m。
こんな内陸にはるか昔の海の痕跡と生命の営みの痕跡があったのです。

杖突峠から眺める諏訪盆地の景観。

諏訪湖も八ヶ岳のなだらかな裾野も、豊かな温泉も
大断層どうしが交差し、複雑でダイナミックな大地の動きによって生まれました。

人間からみれば気の遠くなる時間、地球の紡いだ 物語。
守屋山はその片鱗に触れることのできる山です。

(か)

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