遷座祭【前編】 (諏訪郡下諏訪町)

2019.02.03 / 地域を知る / 編集部さん

下諏訪町に鎮座する諏訪大社下社の秋宮と春宮。
季節によって神さまは社を行き来します。

毎年8月1日に春宮から秋宮へ。
これは「お舟祭り」とも呼ばれ、諏訪大社の神事にまつわる年中行事の中でも華やかもので、大きな柴舟が参道を秋宮へ向かう勇壮な祭りです。
(ご遷座の行列は柴舟より先行するのですが)

そして毎年2月1日には秋宮から春宮へ。
「え、やってたの?!」
といわれるほど、ひっそり粛々と行われています。

なぜ遷座するのかはっきりした理由はわかっていませんが、現在では農耕、とくに稲作に関係しているのだという説が主となっています。

で、今年の遷座祭の様子を追い掛けてみました。

なんと、当日の朝は雪!
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厳冬期らしい景色です。
本来は旧暦の1月1日に行われていましたから、まさしく春を呼ぶ祭りでした。
(なので神様お留守の春宮で、新暦の日にちに合わせてしまった筒粥神事を行うようになってしまったのです)
早朝からお祭りの準備が進められています。
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秋宮の幣拝殿の中央の扉が開け放たれています。(幣拝殿内蔵の賽銭箱にも板が渡されています。)
神様はここを通って秋宮から春宮へ向かわれます。
両側には朱に塗られた大小の御正台ガスタンバイ。
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同じように神楽殿も開け放たれています。
正面には秋宮幣拝殿中央の扉。
まっすぐ、神様はお通りになるのです。
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御遷座の行列に使うお道具。
御鉾や薙鎌、幟や御旗。
これは地元下諏訪町の氏子が白丁を着て奉仕します。
幣拝殿奥にある西拝殿前には、神さまのための御輿が錦に覆われ用意されています。

12:45、触れ太鼓の音で祭りが始まりました。

参列者のお祓いのあと、神職が左片拝殿の扉から秋宮西宝殿前に入ります。
西宝殿は扉を開け、警蹕の声と共に出御(しゅつぎょ)の儀が行われます。
幣拝殿の向こうでは神職が大きな布を広げ、神さまのお姿が参列者の目に触れないように覆っています。
白布の向こうで何が行われているか直接うかがうことはできませんが、アナウンスにより御輿には
・御手箱
・御幣束
・第二御霊代
・第一御霊代
の順で、奉遷されたことがわかりました。

無事に御輿に神さまがうつられると、行列に奉仕する氏子たちが召し立てられます。
行列には神職のほかに
・その年の御頭郷地区の大総代ら
・地元下諏訪町や周辺市町村の関係者
・茅野市北山湯川地区代表者
・茅野市玉川神の原地区の「神之原下方組頭役(しもかたぐみとうやく)」
らが加わります。
湯川地区も神の原地区もかつては下社の神領があった村で、上社方にありながらも特別な関係がありました。
さて、行列が整ったら、いよいよ秋宮をお出になります。
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錦に包まれた御輿が白丁姿の氏子たちに担がれて、廃拝殿正面を抜けて…
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神楽殿の中を通過します。
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いよいよ秋宮を出発です。

【後編につづく。】

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