「御渡」にまつわるエトセトラ

2018.02.07 / 地域を知る / 編集部さん

諏訪湖に五季ぶりの御渡ができました。
連日、地元新聞は一面トップで報道を続け、そのうちには全国紙にも大きく取り上げられました。

連日メディアに登場された八劔神社の宮坂宮司さんにはファンがいるとかいないとか…。

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湖上にできる氷のせり上がりは、現象としての「御神渡り」ですが、神が渡った痕跡としては「御渡(みわたり)」と呼びます。
「御渡」であるかどうかは、ふるい昔から諏訪湖に対する漁業権を持ち、その権限も大きかった諏訪市小和田地区の八劔神社が決定をします。

「御渡」とするには条件があります。
1.一之御渡及び二之御渡
諏訪市神宮寺にある諏訪大社上社方向から(くだりまし=下御または下座)、
下諏訪町の諏訪大社下社方向(あがりまし=上御または上座)に氷のせり上がりがつながること
2.佐久之御渡
諏訪市大和方向から岡谷市湊方向を結ぶ氷のせり上がりが、先述の2本の御渡と交差をすること
となります。

八劔神社には鎌倉時代から連綿と続く、「御渡」の記録とその年の作物の出来栄えや世相を記した文書があります。
それらを参考にしながら、宮司と総代たちが今年の「御渡」の筋を見て占いを行うのです。

え?

「上社の男神さまが下社の奥さんのとこに行くのはわかる。」

うんうん。

「“佐久之御渡”ってなんだ」

ああ、イイことにお気づきになりますねぇ。

「佐久之御渡」というのは、佐久市臼田にある新海三社神社の主祭神、興波岐命(おきはぎのみこと)という御名の神様。
上社の御祭神・建御名方命の4男とされる神様です。
佐久地域を開削したとも伝えられています。

その興波岐命が、岡谷市湊の小坂鎮守にいる姐神である下照姫に会いに来る、その痕跡が「佐久之御渡」と言われています。

「え?姉に会いに、佐久から??」

そう、そうなんですよ。
ここに諏訪を読み解くカギがあるのかもしれませんねえ。

というわけでタイムリーの御神渡りにまつわるイベントをふたつ、ご紹介します。

まずは2月10日(土)13:30
諏訪湖博物館地域研究講座「御渡りってなに?」
講師 八劔神社宮司 宮坂清氏
※要申込み 諏訪湖博物館・0266-27-1627

そして、2月12日(月・祝)14:00~
諏訪清陵高校三澤先生記念文庫講座「諏訪力講座」
テーマ「御渡~諏訪信仰の根源」
講師 八劔神社宮司。宮坂清氏
スワニミズム事務局長 石埜三千穂氏
※要申込み 諏訪清陵高校・0266-52-0201

なお、諏訪力講座ではご要望に応えて「小特集 御渡」を収録したスワニミズム創刊号の販売予定があります。


次はいつみられるか約束されない「御渡」
どうぞこれを機会に、時空を超えて、深ーく学んでみるのも楽しいと思いますよ。

それにしても、2月6日付の長野日報のこの扱いはすごかったですねえ。
(本誌をぐるりとくるむようなこのレイアウトは「ラッピング紙面」っていうんですって。)
さすが諏訪人だなああ!
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(ふり)

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