御渡(諏訪湖)

2017.01.09 / 地域を知る / 編集部さん

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この画像は、今年元旦の朝7:00、諏訪市四賀地籍からみた諏訪湖です。
朝焼けを雲が反射し、その色が諏訪湖に映って、とても幻想的な景色でした。

年が明けると、諏訪の人の関心は諏訪湖上にできる「御渡(みわたり)」への関心が濃くなります。
寒さ厳しい盆地の気候は、諏訪湖一面に厚い氷を作ります。(これを「全面結氷」と呼んでいます。)
氷の厚さは過去には30センチほどにもなったようで、昭和初期までは冷蔵用や飲食に供するために切り出していたほどでした。

この厚く凍った氷は、昼夜の寒暖差でごくわずかに緩んだり凍ったりを繰り返します。
そこに亀裂が走り、亀裂には新たに周囲より薄い氷が張ります。
厚く張った氷が膨張し湖面の面積を越え、亀裂に張った氷押し上げるとき、大音響とともに氷がせり上がります。

この現象を、諏訪地域では神様が湖を渡った痕跡だとして「御神渡り(おみわたり)」などと呼んでいます。
諏訪市小和田の八劔神社がこの観測を行い、氷のせり上がりが神の渡った痕跡、つまり「御渡(みわたり)」であることを認定します。
八劔神社はこの現象の記録を少なくとも西暦1443(嘉吉3)年から約600年にわたり現在も記録しつづけています。この記録は世界で最長ともいえる大変貴重な観測記録です。
八劔神社では御神渡りを観察し、起点(下座・くだりまし)と終点(上座・あがりまし)を確定し、どの方向に何本の「御渡」できたかをみて、過去の記録と照らし合わせて、その年の農産物の豊凶を占います。
※補足
氷のせりがる現象をいまでは「御神渡り」と呼びますが、正式に神が渡った痕跡と認定されると「御渡」となります。

近年は全面結氷すら危ぶまれることが多く、この現象はなかなか見られなくなってしまいました。
それは地球規模の気候の変動や諏訪湖の水質変化などの複合的な原因が考えられています。
このことを2016年5月、ナショナルジオグラフック社が記事にしています。

そして、2016年12月は過去にも稀なほどあたたかったようです。
大晦日までに湖面が凍ることはおろか、真冬日がなく、波立つばかりの湖。

湖上に御神渡りが出現するには、
・最低気温が氷点下10度程度の日が続き、全面結氷が8日間程持続すること
・八ヶ岳をはじめとする流入河川の上流部に降雪があり、水温が2度以下に下がること
・日が長くならない1月末までに安定的な全面結氷があること
などの条件があげられます。

現在95歳になる、かつて湖の近くに住んでいた女性は60年くらい前の様子を
「大晦日の晩にねぇ、“どおおおおおおん”と、震えあがるほど大きな音でねえ、地鳴りみたいにねえ、」
と、全面結氷した諏訪湖の氷が割れる音をそんな風に教えてくださいました。

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この写真は約30年前の冬の諏訪湖の様子。
湖岸近くに押し付けられた氷がせりあがっている様子のようです。
撮影者は現在70代の男性。
彼によると、一番大きな氷は高さ1メートル程度までせりあがっていたとこのとでした。

さて、今年も1月5日の小寒から八劔神社では湖面の監視が始まりました

この暖かさでは何とも見込み薄のような気がしますが…。
今日の降雪と明日からの冷え込みにはちょっと期待できるのかもしれません…。

サテ。

諏訪地域の有志のかたが開催する「御神渡り認定日」を当てるクイズ、今年もやってます。

<応募方法>
・八剱神社が「御神渡りが出現したと認定する日」を予想してはがきに明記。
・住所、氏名、年齢と冬や諏訪湖に関する一言記入
・送付先 〒393-0015 諏訪郡下諏訪町立町 風雅舎気付「時を考える会」
注意:はがき1枚に付き解答は一つ、認定日の前日までに到着したはがきは有効。

寒くなって御神渡りができれば、クイズ成立。
正解者には地元協賛企業が提供する豪華景品があるそうです。
(ふり)

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