上川橋 (茅野市宮川)

2016.07.11 / 地域を知る / 編集部さん

JR茅野駅から南へ。
仲町を抜けて上川を渡る、その橋。
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橋の上からは御柱祭山出しで一番の見せ場ともされる長峰の先端、木落しの坂もよく見えます。

この橋は「上川橋」
昭和10(1935)年完成、駅周辺と宮川茅野地区界隈をつなぐ重要な橋です。
橋の向こうの宮川茅野地区は、かつて寒天の製造で多くの人が集まりました。
製造の最盛期、つまり冬ですが、出稼ぎの労働者でにぎわい、一帯は飲食店も建ち並び繁華街のようでもあったそうです。
最盛期は過ぎた今、宮川茅野地区は区画整理のまっ只中。

古い寒天蔵や趣ある木造建築がいくつか消え去り、少々寂しいですが、地元の人たちは一部の建物を活用し定期的にイベントを開いたりするなど、まちの賑わいづくりに取り組んでおられます。

サテ。

上川橋。
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橋の四隅にたつ柱、コレは親柱(おやばしら)といいます。
完成当時からの特徴的な尖塔型のデザイン。
当時の内務省のエンジニア、中島武さんが開発、設計に加わったとされるこの橋は「コンクリートローゼ桁橋」と呼ばれる、他の県にはあまり見られないタイプの橋です。
「ローゼ桁」というのはアーチと橋桁の太さが同程度という意味です。
他県でも見られますが、長野県に突出して多く30以上の橋がこの工法で架けられました。
当時アラサーの中島エンジニアが情熱をもってこれらの橋の設計や建設に携わったことがうかがえます。

高さ約3・4m、この親柱のデザインは昭和13年に架けられた佐久穂町の「栄橋」(土木学会選奨土木遺産登録)とよく似ているそうです。「栄橋」も中島武さんの設計だそう。
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ついてっぺんに目が行きがちですが、下の方。
幾何学的なデザインも凝っていますね。

ですが、この橋も老朽化が進み、とうとう架け替えが決まりました。
市内の交通の要所でもあり、いくら貴重だからと言ってここにそのままというわけにはいきません。
2022年を目指して架け替えが進められている、この上川橋。

新しくできる橋は、うれしいことにこの親柱のデザインを基調に設計されるのだそうです。
設計した中島エンジニアの、彼の情熱も共に未来へつながって。

でもその前に、オリジナルの上川橋、あなたのココロのファインダーにもぜひお納めください。

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ところで。

長らく「かみがわばし」だとおもっていましたが…
「かみかわはし」だったのですね。

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