お舟づくり (諏訪市中洲)

2016.04.30 / 地域を知る / 編集部さん

4月23日、諏訪大社上社本宮境内ではあたらしい御柱を迎えるために古い御柱を曳き倒す「御柱休め」の作業が行われていました。
作業を担当するのは長年の慣例で諏訪市中洲中金子の「八立神社」の氏子衆。

山吹色と黒の前掛けに身を包んだ氏子衆の大きな威勢のいい掛け声、ざわめき。
いつもの静粛なお宮とは打って変わって、熱気と緊張感が伝わってきます。

・・・と、その傍ら。
神楽殿では、何やら黒い装束の一団。
静かに、何やら思案しながらたくさんの木の枝を並べています。

何してるんだろう…。
…あっ!

周りの人の話と傍らの小さな金属模型をみて気づきました。

これは…「お舟」だ。

上社御柱祭里曳きのときだけに作られる特別な「お舟」。
制作しているのは茅野市玉川神の原地区の「山作り衆」。
そう、御柱を伐りだす森「御小屋山」の管理と伐採、さらに建御柱の際に柱の先端を錐状に切り落とす「冠落とし」などを担う特殊な一団です。

この「お舟」は上社里曳きの際に本宮から出る御柱迎えの行列で、黄衣をきた茅野市泉野中道地区の氏子が担ぎ、曳行路を遡ります。(かつては白丁姿の山作り衆が担いでいたようです)
この「お舟」には神が宿るとされ、沿道の氏子・観客は「お舟」にお賽銭を投げ込みます。
そして御柱屋敷から出発した本宮一の柱に出会ったところで神事を行い、また本宮へとお舟も行列も引き返します。

ほんのちょっとだけしか登場しないこのお舟、もはや祭りの中でも超レアな存在なのです。

格子状に並べた枝(ナル、と呼んでいるそうです)を針金で固定します。
このフラットな状態からどんなふうに立体になるのか、ちょっと不思議。
どきどき。

おお!立ち上がってきた。
だんだん撓めていくようです。
完成サイズは決まっている様子。
設計図を見ながら曲げる位置を決めています。

舟の形になってきました。
構造を見ると、下社お舟祭りときに作られるお舟とは大きさも構造も全く異なるようです。

山作り衆のお昼休みに、作成途中のお舟を拝見。


舳先がついています。
「お舟」の中ほどに渡してある柱は、御幣と薙鎌を取り付ける場所になります。

…と、残念ながら私が観察できたのはここまで。
翌日、神楽殿を訪れると、完成していました!

底部にはゴザが張られて紫の幕に覆われ、御幣も取り付けられています。(かつてはご神紋が入った白い幕だったようです)
里曳き一日目まで、ここで安置されます。

この「お舟」、本当にほんのちょっとの登場なので、どうぞ皆様お見逃しなく!

さあ、もうすぐ上社里曳き。
どなたさまも御無事でおねがーあああああいだああああ!よいさっ♪

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