薙鎌打ち神事 (北安曇郡小谷村)

2015.09.01 / 地域を知る / 編集部さん

諏訪地域は来年の御柱祭に向け、着々と準備が進んでいます。
既にすべての柱が決定され、下社の8本はすべて伐採済、上社については今年は辰野町の国有林からモミの木をもらうことになり、抽選式前に伐採担当地区だけ決めるという異例の対応となりました。

熱を帯びる諏訪地方ですが、とおく離れた北安曇郡小谷村でも御柱に絡んだ神事が行われます。
この神事は「式年薙鎌打ち神事」といい、起源は明らかではありませんが、いったん明治維新で途絶えた後、昭和初期に地元の人が諏訪大社と協議のうえ復興させました。
御柱祭の前年に行われ、6年ごと交互に「境の宮」と「小倉明神社」で行われます。
薙鎌を打つ意味についても、いまだ明らかではありませんが“御柱祭を前に諏訪社への奉仕の範囲を確認した”という説が今のところ有力なようです。

今回、神事が行われる場所は小谷村戸土(とど)地区の「境の宮」。
諏訪地方から車で約3時間ほどの小谷村の中でも北端に近い場所に位置し、自動車で行くにはいったん県境を越え、新潟県側から入る必要があります。
現在は住人のいない戸土地区ですが、この日ばかりは境の宮や地元の諏訪系神社の氏子、神職が総出で集まります。諏訪からも諏訪大社宮司をはじめ神職や大総代、関係者足を運びます。

霧と小雨の中、質素なお宮の周りに新聞の報道によれば400人もの人が集まりました。
お宮を取り囲み、神事を見守ります 。

薙鎌を打ち付けるのは、境内の杉の巨木。
ご神木とされ、過去の薙鎌も見られます。
古いものは樹皮に埋まって、ほんの一部しか形の見られないものもあります。

 

三方に薙ぎ鎌と木槌を乗せ、諏訪大社の宮司が木槌を使い、薙鎌をご神木に打ち込みます。
数回、木槌のかわいた音がして、 無事薙鎌はご神木に打ち付けられました。


3枚並んだうちの真ん中が、今回打ち込まれた薙鎌。
御柱祭の幕開けはこんな遠くの集落からも はじまっています。
(か)

 

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