双子な社殿 春宮&秋宮

2015.05.31 / 地域を知る / 編集部さん

諏訪大社下社の春宮と秋宮の現在の社殿はほぼ同じ時期の建築です。
当時、諏訪で技術を誇った2つの大工の流派、大隅流の伊藤(柴宮)長左エ門と立川流の立川四郎富棟が高島藩の命にてそれぞれ請負い、春宮は1780年に、秋宮は1781年に完成しました。
2つの社殿はどうやら基本設計は同じだったようでした。
ほぼ同じスタイルで、幣拝殿も片拝殿の配置も同じ。
まるで双子のような建物です。

お世話になっている建築士さんは独自の研究を重ね、過去に文化庁が作った調査記録をもとに春宮と秋宮の実測図を重ね合わせました。

建築士さんは春宮と秋宮についていくつかの共通点を指摘します。
・幣拝殿は基礎から屋根までの高さや奥行と幅がほぼ一致している。
・片拝殿は秋宮の石垣の高さを入れればほぼ一致。
双方は約一年違いで完成し、いわば「双子」ともいえるような建物。
精緻な彫刻を施し、採算度外視で双方の大工がその技を競ったといわれてます。

そして、あとから完成した秋宮を手がけた立川流は、なんと秋宮にすごい仕掛けをしていたと建築士さんはいいます。

・なんと左右の片拝殿が「10mで18cm手前に出る割合で」角度が付いている。
・幣拝殿の屋根を大きく前方に張り出す形をとり、柱の間隔を春宮より左右柱一本分間隔をあけて配置している。
・これらは遠近法を用いて、社殿を大きく見せいかにも迫ってくるように見える仕掛けではないか。

へえええー…。

そして、疑いぶかいワタクシ。
本当に「10mで18cm手前に出る割合で」、つまり角度にして1度程度、出ているかカクニンしてきました!

まず春宮。片拝殿を春一の柱側から。

うんうん。特に角度はないですね…。

続いて秋宮。
同じように、秋一の柱側から…
(↓クリックすると拡大します)

…!
確かに、反対側が前方に張り出している!

これは驚き…。

トラディショナル派の大隅流とイノベーション追求派の立川流。
驚きという点では立川流に軍配が上がりそうです。

来年は御柱祭。
祭りの喧騒の前に、ぜひご自身の眼で確認してみてくださいませ(^◇^)
(か)

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