諏訪と仏教 (諏訪市)

2019.09.15 / 地域を知る / 編集部さん

諏訪地域といえば諏訪大社、というほど、諏訪地域は生活のなかにも諏訪大社やお宮の行事が深くかかわっています。
初詣や二年詣り、なにかお願いごとがある時にひょいとお宮に行く人は多いかもしれません。

仏教は…といわれると、古いお宅はどこかの寺の檀家になっているけれど、そんなに身近ではなかったりするかもしれません。

諏訪地域に仏教が入り始めたのはいつごろかはっきりしません。
どんな経路で誰が持ち込んだかもよくわかっていません。

かつては長く「神仏習合」というかたちをとり、神社とお寺は一体でした。
諏訪でも上社には神宮寺が、下社春宮には観照寺、秋宮には神宮寺と、どれも今はないお寺が別当寺として存在していました。

そんな形が崩れたのは、つい最近。
明治元(1868)年の神仏分離令をきっかけとした廃仏毀釈により、全国あちこちで寺院や仏具が破壊され、たくさんの貴重な品々が失われました。
もちろん諏訪地域にもその波は押し寄せ、破壊されたもの、解体されたものがたくさんありました。
上社神宮寺にあった五重塔はあっさりと跡形もなく消え去り、今や現地にその痕跡すらうかがえません。
建物や仏像、仏具の一部は別の寺院に遷されたり、心ある人のもとで守られたりして、いまも神仏習合の形を伝える貴重なものとなりました。

今回の企画展でクローズアップされる「仏法寺」も、諏訪上社の別当寺「神宮寺」からいくつもの仏像や宝物が移されました。
そうしたものと共に、諏訪上社と仏法寺の長い歴史的かかわりに触れるのが今回の企画展です。

仏法寺は古くは諏訪上社の別当寺として、また信濃の国一円の僧侶の学問・修行の場として、江戸時代には高島藩藩主の祈祷寺として、諏訪地域の歴史を知る中で欠かせない役割を担ってきました。
また、過去にもご紹介したように、かつての諏訪上社の本持仏である「普賢菩薩」を祀り、境内の大イチョウは神宮寺地区にある大祝邸のイチョウと夫婦であるなど、上社とのかかわりの濃厚な寺院です。

企画展初日は独特の節回しでお経を唱える「声明(しょうみょう)」のコンサートが博物館ホールで行われました。
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この日は仏法寺も所属する高野山真言宗の声明グループ「六大」と真言宗智山派の「谷響」のお坊さんたちが、御諏訪太鼓とコラボレートして声明を披露。
天平の時代には日本に持ち込まれていたという説明をお伺いして、華やかなりし当時の法要の様子を妄想してどっぷり浸ってまいりました。

↓音が出ます、注意。


諏訪市博物館企画展

「仏法紹隆寺」―諏訪の真言道場 古刹の歴史―
会期:令和元年9月14日(土)~11月24日(日)
入館料:一般500円・小中学生150円
※諏訪地方在住・在学の小中学生は無料
なお、展示解説や社協体験など関連イベント多数です。

連動して、仏法寺さんでも秋の特別公開を開催中です。
普段予約の必要な宝物殿や普賢堂の拝観、期間限定の御朱印押印など盛りだくさんです。

諏訪地域の歴史に流れる、信仰の動きをたどるちょっとマニアックな時間旅行、この秋激推しです!
再来年には「諏方國建国1300年」ですのでネ☆
(ふり)

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