帰ってくる「上川橋」 (茅野市)

2019.06.25 / 地域を知る / 編集部さん

上川橋は昭和10(1935)年、上川のうえに茅野駅と宮川地区を結ぶべくかけられた橋です。
しかし、年月を重ねた傷みにはやはりもう限界でした。
上川橋の交通量も、建設当時に比べたら格段に増えました。
いよいよ架けかえの話が持ち上がり、とうとう新しく橋を架けることになりました。

しかし、趣ある親柱は残したい、新しい橋のデザインに取り入れたいと保存と再利用が決められました。
2016年11月、橋の解体工事に着手。
仮設の橋を上流にこしらえて、新橋を建設します。
解体から早2年半。

とうとう親柱がもどってきました。
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こちらは宮川地区側から。
橋幅は大幅に広げられました。
すでに親柱の下部は設置されています。
銘盤の入る部分はまだ何も入っていません。

うわあー、本当に帰ってくるんだ!
と、思わずホロリ。

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これから復元されると思われる部材もあります。
ひとつひとつ印がつけられ、どこにあったのわかるようにして、もとに戻せるようになっています。
いちばん左は尖頭の部分でしょうか。
これだけやけに新しいように見えます。

川の向こう岸にわたってみました。
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茅野駅方向からみて左の親頭は、ほぼ復元が完了しています。
やはり尖頭部分の部材だけが新しいようです。
あれ?
なにか配線が出ていることに気が付きます。

これは右側の親柱。
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やはり中になにか配線が仕込まれるようです。
前の親柱にはなかったような気がしていましたが、解体前の写真をよく見ると何らかの付属物があったようです。
親柱の右側は、昭和10年開通当時の欄干に施された装飾デザインを取り入れています。

工事中の橋のたもとには完成イメージが添えられていました。
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ゆったりとした橋幅で、ひとにも車にも余裕がありそうです。
親柱の上部四方には、どうやら電燈用の装飾がつくのでしょうか。
親柱内に仕込まれた配線はこのためなのでしょう。

新しい上川橋の開通式は7月27日。
イベントも用意され、新しい上川橋誕生のお祝いをするのだそうです。
モダンなデザインは現代にも通じる美意識を保ちつつ、新しい時代を通る人たちを見守ります。

昭和初期、この橋を設計した内務省のエンジニア、中島武さん。
きっと、このどこかから目を細めて、この工事をご覧になっていると信じています。
(ふり)

 

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