週に一度、他者を想う食事を。 地産地消料理研究家 中村恭子さんが伝えたいこと。

2018.01.17 / 人・団体・インタビュー / 編集部さん

「地産地消」「ベジタリアン」「オーガニック」

近年よく聞くようになった『食』に関するキーワード。

すでに生活に取り入れている、という方もいれば、自分には難しい、敷居が高い…と感じている方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、一般社団法人蓼科塾の代表であり、「週に一度のベジタリアンライフ」を推奨する地産地消料理研究家の中村恭子さんにお話を伺いました。

週に一度の食事が世界を変える。
私もやってみよう、と背中を押されるインタビューになりました。

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中村恭子
・地産地消料理研究家
・健康管理士
・クシマクロビオティックス・コンシェルジュ
2011年に東京から蓼科に移住し、Cafe楢Oak(カフェオーク)をオープン。地産地消料理研究家として、地元産野菜を使ったレシピの開発・提供、地元小学校での食育指導等を行う。2014年より一般社団法人蓼科塾の代表を務める。

 

一ヶ月のベジタリアン生活で実感したこと

もともと『食』への関心が強く、料理教室と製菓教室で講師をしていたという中村さん。ベジタリアンに興味を持ったのは、およそ9年前。膠原病の友人から「そういう食事法がある」と聞き、一ヶ月間、ベジタリアンの食生活を実践してみたそう。

「一ヶ月間実践してみたら、心の持ちようや身体のあり方が大きく変わったんです。完全にベジタリアンになることは、私にとって良いこととは思いませんでしたが、心身の変化を実感して、『なるほど、余計なものを取らないっていいかもしれないな』って。『食』に対する考え方も含めて、現代の食事を見直すきっかけになりました。」

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▲Cafe楢Oak。GWおよび夏季限定で、動物性食材を使わないベジスイーツなどを提供する。

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▲カフェの隣は乗馬ファーム!  蓼科乗馬ファームのホームページ

 

週に一度、他者を思いやる食事を。

現代の食事には、健康面だけではなく、環境保護や人道的な観点からも問題が多いことが世界中で指摘されています。

「長い目で見たときに、どんな食事が健康につながるかは、体質によるところが大きいと思います。

でも、目先の美味しさのために、地球環境や動物の命、発展途上国の人たちの食事をないがしろにするというのは、人類として建設的ではないのではないでしょうか。」

週に一度でも、先進国の人が肉、牛乳、卵などの畜産製品や魚の消費を抑えることで、無理な飼育や乱獲を抑えることができる。

そのような考えから、中村さんは、「週に一度のベジタリアンライフ」を推奨、動物性食材を一切使わないベジタリアンメニューの開発を始めます。

 

楽しく、おしゃれに、発信を続ける。

何気ない食事が自分の健康だけでなく、地球環境や他国の人に悪影響を及ぼしている。重たい話題だけに、中村さんは“楽しく” “おしゃれに”発信することを心がけているそう。

簡単においしくできるマクロビレシピの開発。

オーガニックを中心に、体にやさしい食材を集めたお祭り「ビジンサマ・マルシェ」。

信州産しめじと茅野産寒天をつかった、オールベジ、グルテンフリーのレトルトカレー「ビジンサマカレー」。

いずれも、「おいしそう!」「やってみようかな。」「行ってみたいな。」と思わせる、まさに楽しくおしゃれなものばかり。

「食事ってファッションだったり、その場の口当たりの良さだけで選んでしまっている部分もあると思います。おいしいことは大切だし、ひもじい思いをする必要もない。ただ、『生きるために食べているんだ』ってことを思い出すというか、命のありがたみを見直すきっかけになれば、と思っています。」

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▲まろやかな甘さに、ピリッとスパイスが効いたビジンサマカレー。本来の味わいを再現すべく、今後も改良を続けていくそう。

 

持続可能なまちづくりを、茅野市から。

今後の展望を伺うと、「まちづくり」という答えが返ってきました。

「イベントや商品開発などの情報発信を続けることで、『茅野市ってオーガニックなまちだよね』というイメージを作っていきたいと思っています。」

イメージはイギリスのコッツウォルズ地方。徹底してオーガニックなまちづくりを進めており、イギリスでも有数の美しいカントリーサイドとして有名な地域です。

「おいしい野菜とか、オーガニックなイベントやお土産などの情報を発信し続ける。イメージを作ることで、農村として、観光収入を上げることができると思うんです。実際に、観光客や別荘のお客様はオーガニックなものを求めています。

そうした外からのイメージによって、地域に住んでいる人たちの意識も変わっていくといいな、と。今は慣行農法が主ですが、少しずつでも、みんなが環境にやさしい農業や食事を考えるようになる。そういうことが、持続可能な社会というか、世界平和にもつながるんじゃないでしょうか。」

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なんか壮大になっちゃったんですけど…と照れながらも、真剣な面持ちで未来を語る中村さん。

大きな問題を、地域から、自分の食事から、変えていく。

ストイックな食生活はできないけれど、簡単でおいしいレシピがあれば、おしゃれなイベントがあれば、楽しく取り組むことができるかも。

「週に一度のベジタリアンライフ」、あなたもはじめてみませんか?

 

writer:及川

 

 

 

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