運慶たちと諏訪
今年秋、東京国立博物館平成館で始まった「運慶」展、大盛り上がりを見せています。
混雑情報はTwitterの公式アカウントで実況され、週末の入館はもはや1時間待ちも珍しくありません。
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そして今週は会期最後。
なんと、毎日21:00まで開館するという、異例の事態となりました。
展覧会、行ってきたワタクシ。
手の甲の血管、隆々たる体躯。
躍動感あふれ力づよく、悪鬼を踏みつけ仏法を守護します。
しかし衣の裾には、今しもそこに降り立った風を感じるような優美さをまとう四天王立像。
大勢のお客さんがいるにも関わらず、時間が止まったようにそこにち尽くすしかないほど感激しました。
で、これほどまでに注目される運慶、そしてその流れを組むいわゆる運慶工房の制作したという仏像が、実は諏訪にもあるんです。
諏訪市四賀桑原地区。
旧道から狭い曲がりくねった道を、自動車でそろそろと上がった先にお寺があります。
鼈澤荘厳山仏法紹隆寺、地元に人には「仏法寺さん」と呼ばれる…
え?
「なんて読むの?」ですって?
ええと。
べったくしょうごんざん ぶっぽうしょうりゅうじ
です。
(実は正式名称はもっと長いんですよ)
寺の言い伝えによると大同元(西暦806)年の開基という古さ。
しかも諏訪社上社神宮寺(現存せず)が「真言宗を広める寺」と位置付けられたのに対して、「真言宗を学ぶ寺」という修行のための寺として位置づけられ、信州やお隣甲州から修行の僧たちがこの寺には大勢いたのです。
諏訪社とも縁が深く、このお寺の山門には梶紋が入ります。
これは今年のイチョウ。
市街地あたりからもひときわ目立つこのイチョウの大樹は、神宮寺地区にある大祝邸のイチョウと夫婦だという伝説もあるんです。
諏訪市の天然記念物でもあります。
と、話がそれましたが…
諏訪社とのゆかりが深いということは、大祝一族である諏訪氏との関係も深いことにもなります。
鎌倉時代、幕府の有力な御家人であった諏訪氏が自分とゆかりの深い寺に当時、仏師としてノりにノっていた運慶制作の仏像があることは納得のいくことでもあります。
この仏法寺の寺宝である伝運慶・不動明王立像は、その作風から運慶作品ではないかと長年考えられています。
しかし、最近の研究で運慶作の仏像の特徴である胎内納入品の形状が運慶の作品のものとはどうやら形が違うことがわかってきています。
しかし、それだけでは結論をつけられません。
諏訪地域は運慶・快慶が活躍したいわゆる「慶派」の仏像が幾つもあることも最近分かってきました。
諏訪社に関連した別当寺には慶派の仏師が制作や修理を手掛けた仏像があることがわかってきています。
諏訪での慶派の足取りを追う研究はまだまだこれからですが、ちょっと楽しみにしたいところです。
伝運慶の不動明王立像は、境内の宝物殿に展示されています。
不動明王立像はじめ、宝物殿内は撮影禁止なので、ぜひぜひ足をお運びいただき、その目でしかとごらんくださいませ。
見学には予約が必要ですので、あらかじめお寺に問い合わせてからお出かけください。
仏法紹隆寺 0266-52-2241
※深夜早朝のお電話はお控えください。
なお、平成30年は神奈川県の金沢文庫での特別展に出展後、調査のために不動明王立像はしばらく寺にご不在となります。
見学はお早めに。
金沢文庫 特別展 運慶―鎌倉幕府と霊験伝説―
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(ふり)