さよなら、三の丸橋 (諏訪市)

2017.10.26 / 地域を知る / 編集部さん

上諏訪駅からケヤキの茂る並木通りを抜け、みその丸高蔵さんの黒塗りの蔵の前を通過。
その先に、なんとも不自然なクランク…に、橋。
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ここは昔、中門川で隔てられた二の丸と三の丸をつないでいました。

三の丸橋。
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現在架かる橋は、昭和8年竣工。
近代のコンクリート橋です。
御城内にあった時代から現在まで、観光にも市民の生活道路としてもとても重要な橋です。
10年くらい前まで手すりは木製でしたが、傷んだのか金属のものに変わりました。

タイルを張り付けたようなモダンなデザインは竣工当時にはなく、あとの時代に加えられたようです。
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明瞭な親柱はありませんが、橋名や竣工年、なんと請負人までもがプレートに記されています。
施工業者でなくて、請負人の名が入るのは興味深いですね

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そういえば不思議なことに気が付きました。
立派な金属製のプレートがついていますが…。
…これは戦時中の金属供出に遭わなかったのだろうか。
そういえば、プレートのはめ込まれている凹部分の形状はプレートのそれとは合っていません。
ひとつ向こうの衣の渡川に架かる「衣の渡橋」のプレートは、ここと似たような形状で、竣工も同時期で陶製ですが…何かあったのでしょうかねえ。

三の丸橋のたもとには、三の丸温泉という共同湯がありました。
今は跡地にオユゼン様(湯神様)の祠があるのみで、その風情はあまり残されていません。

このモダンな橋と共同湯。
昭和30年代頃には有名女優の映画ロケもあったりしたそうです。

そんないろんな物語を抱えた三の丸橋も、年月とともに老朽化が進んで、今年、解体と架けかえが決まりました。

多くの人が親しんだ橋。
私もその一人です。
建造物には寿命があって、でもこの橋はそれを全うしたのだということはよくわかります。

それでも、まるきり新しくなってしまうこと、慣れ親しんだ景色がきっと大きく変わること。
切ない気持ちと感謝の気持ちと…ないまぜになります。

解体工事が始まるのは11月6日。
それまでにまだ何回か、会いに行こうと思います。

これは私の好きな、桜咲く時期の三の丸橋。
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