御座石神社の酒蔵 (茅野市)

2017.08.29 / 地域を知る / 編集部さん

地元の人が「100円道路」とかつて読んでいた(なつかしい…)あけぼのトンネルをくぐって、ビーナスラインを蓼科・白樺湖方面へ。
そして、蓼科方向と白樺湖方向へ別れる交差点には

「御座石神社」

ございし、と読みます。

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諏訪大社に祀られるタケミナカタノミコトの母神、コシヌナカワノヒメノミコトをお祀りする神社です。
今の新潟県糸魚川市に住んでいた母神は自分の息子を訪ねて諏訪へ訪れたのだそうです
「御座石」の名の由来は諸説あります。
古くは「御座所」とも記されていますが、どうやら母神がここに滞在したことによる名のようです。

一の鳥居をくぐる手前、左側に御幣のついた策に囲まれて大きな石があります。
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この石の上でコシヌナカワヒメノミコトは履物を履き替えたと伝わる「御履石(おくついし)」
(イマイチ平らじゃないのだなあ…。)

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二の鳥居は白木でできています。

実はこのお宮は諏訪郡域にありながら御柱を建てない数少ないお宮です。
その代わり、氏子が曳いてきた4本の木でこのように鳥居を作ります。
その理由について
・御座石神社の祭神が女神さまであるから
とされえいますが、女神さまでも御柱を建てる社は他にいくつもあるので、なんとも腑に落ちません…。

まあとにかく、昔からこのスタイルで、柱を建てる代わりに鳥居を作り替えているとのことです。

拝殿の左手には、なんと!
母神が乗ってきた鹿のあしあとが残されるという石もあります。
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ほほほほ…ホントだ、シカのあしあとみたい!
そして、この石に腰を掛けておやすみになったとか!
へえええーーー!

そしてもう一つ。
このお宮の特徴はこの蔵にあります。
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境内の土蔵には…
堂々たる「酒」の文字。
そして杉玉。
…そう。
なんと酒蔵があるのです。
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これ、酒造場としての名前でしょうかね
どぶろくじょうぞうぐら と、住所が書かれています。

毎年4月27日。
春うららかな時期に、このお宮は地域の氏子が集まり、この蔵でつくったどぶろくで宴会をします。
当番に当たった氏子が、まだ春の肌さむいうちからこの蔵でどぶろくを作ります。
昔は失敗して腐ってしまったりやたら酸っぱくできたりして苦労されたようですが、現在では茅野市の酒造・ダイヤ菊さんが指導をし、毎年おいしいどぶろくができるようになったそうです。

祭りは「どぶろく祭り」という愛称で呼ばれますが、矢ヶ崎祭、独活祭とも言われています
氏子が作ったどぶろくと、鹿肉とどぶろくの酒粕で和えたウドを神に供え、ヒトも共にいただくのです。
氏子総出で境内に集まり、弁当などをもってそれはそれはにぎやかに和やかに行われる祭りです。

もう来年のお当番氏子さんは決まっていて、社務所に張り出されています。
責任重大。
みんなこころして任に当たるのだそうです。
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かつておすそ分けに預かった、この御座石神社のどぶろくはとろんとして酸味が強く、そして微発泡していました。

来年春、なんとか現地で御相伴にあずかりたいなあとおもうのでした。

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