諏訪大社下社新嘗祭 (下諏訪町)

2015.11.23 / 地域を知る / 編集部さん

11月23日は全国的に「勤労感謝の日」ですが、全国あちこちの神社で神に収穫を感謝し、来年の豊作を祈願する「新嘗祭(にいなめさい)」がとりおこなわれます。
諏訪大社でも、上社本宮で午前に、下社秋宮で午後、 執り行われました。

見たことがなかった私。
下社秋宮へ見学に…。

幣拝殿前には、見たこともないような立派な野菜がたくさん!

たまたま寄った参拝者も目を見張ります。
大根、ジャガイモ、ナガネギ、白菜、キャベツ、ギンナン、リンゴ、キウイフルーツ、フルーツほおずき…
今の季節にとれる旬の野菜たちが奉納されているのです。

幣拝殿内には穀類。
コメがほとんどですが、最上段には「五穀」が奉納されていました。
画像右側には古代米ほか。
香川県内からの奉納です。

神事は定刻にはじまりました。

神職に続き、大総代、氏子代表、地区の代表が参列。
まずは秋宮境内北側にある神宮遙拝所で祝詞が奏上されます。

え?
「神宮」って?

ここで登場する「神宮」は伊勢神宮のことです。
伊勢神宮の祭神の子孫であるとされる天皇家の最重要祭祀である新嘗祭は、天皇家から伊勢神宮にも勅使がでるほどの関係を持ちます。
そもそも「新嘗祭」は諏訪社の神事にはなかったといわれています。
それは諏訪社の関係する古い文献にこの神事はなく、いわゆる「新嘗祭」に相当するような神事は今も別の時期に別の形で執り行われています。
この「新嘗祭」は伊勢神宮、つまり稲作に由来する神事とされています。
まったく別の祭祀形態を持っていた諏訪社には、今日の「新嘗祭」は比較的新しい神事なのかもしれません。



右側の片拝殿には神職が、左側の片拝殿には大総代はじめ氏子たちが着席しました。



いつもは閉じられている幣拝殿両側の格子戸が開けられ、東宝殿の扉が開けられています。
奉納された農産物を載せたいくつかの三方が神職の手によりいくつか東宝殿に運び込まれ、宮司が祝詞奏上後、各神職、氏子たちも玉ぐしを捧げ参拝します。
眼を凝らすと、東宝殿の奥に、なにか水色で描かれたような何かが見えました。

「宝殿閉扉、お頭をお下げください」

神事のすべてが終わり、東宝殿は金の金具がついた木の扉が閉じられ、金色の錠がかけられました。
そして格子戸が閉じられ、またいつもの宝殿の姿になりました。

つつがなく、神事は納められ、一行は奉納された農産物をひとつひとつ見ながら斎館へ戻ります。


次の年も実り多き秋でありますように。

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