舞台は中世の諏訪に?『逃げ上手の若君』

2021.01.31 / 地域を知る / 編集部さん

近年はオンラインゲームのモチーフとなって、注目度も高い諏訪。
マニアの中には研究者も舌を巻くほどの知識を持ち、何度も諏訪を訪れる人も少なくありません。
じわじわと注目度が増す諏訪地域、今度はコミックに登場の予感です。
掲載誌は「週刊少年ジャンプ」、舞台は鎌倉末期~室町期の過渡期、戦乱のまっただ中です。
権力と人が入り乱れ、歴史の授業でもややこしさ抜群の中世…。

主人公は若き(いや、まだ子供というところでしょうか)北条時行。
鎌倉幕府最後の得宗・北条高時の子です。
幼くぷにぷにしたほっぺたが、すでに世のお姉さんたちのハートを「ずきゅん!」と射貫いているようです。
そしてメインキャラクターの一人に北条氏の御内人(得宗家に仕える家来)を務めていた大祝諏訪一族の諏訪頼重。
連載初回からなんだか特殊な能力をにおわせています。
さすが大祝一族、神のちからでしょうか。
しかもこの2人をメインに据えるとは、歴史好きをさらに沼に引き入れようといわんばかりのマニアックな設定作品です。

この諏訪頼重は、1331(元徳3)年、新田義貞の鎌倉攻めによる北条高時の自害・北条氏滅亡の危機に、諏訪一族の力を借りて北条時行を信濃にかくまいます。
この時、時行が諏訪のどこで過ごしていたかは定かではありませんが諏訪地域のいくつかの場所に滞在の伝承が伝わります。

1335(建武2)年、中先代の乱にて諏訪頼重らの擁立で時行は挙兵、鎌倉へ向かいます。
このとき、諏訪からは頼重のほかに先代の諏訪大祝・時継、先代の神長・守矢時実、下社の金刺頼秀などのそうそうたるメンバーが出陣。
加えて今の上田あたりの滋野、望月、海野、根津の一党、各地の平家ゆかりの武士なども加わり6万騎余りといわれる大群でした。
一時的に鎌倉を奪還するもののそれは長く続かず、20日間ほどで時行は逃亡し、頼重は勝長寿院で自害、刀で己の顔を削ってあったという壮絶な最期を遂げます。

今の諏訪大社上社前宮の社務所があるあたりは、かつて「神殿(ごうどの)」と呼ばれ、諏訪大祝一族の居館があった場所でした。
時行も頼重と共に足を踏み入れたのかもしれません。
この神殿あとの一角に頼重の供養塔があります。

DSC_3253
物語の結末は既に決まっています。
悲劇をたどる物語の中に、生き生きと動き回る頼重と時行を期待して、作品を見守りたいなあとおもいます。

どきどき。

(ふり)

この記事につけられたタグ

|