地域の魅力を発信し続ける 笹原観光まちづくり協議会 堀内さん 武安さん 

2020.12.03 / 人・団体・インタビュー / 編集部さん

八ヶ岳の自然豊かな山麓に広がる茅野市。

 

 

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ここはかつて縄文文化が栄え、朝廷の御用馬を供給する勅旨牧場として、

諏訪大社の神に献上する鹿狩神事の場として、

古来より人々にとって大切な場所とされてきました。

 

江戸時代になると新田開発が進み、あちこちに新田村が生まれます。

明治に村々は合併され茅野市という1つの市になりました。

 

その面影があってか、茅野市には「○○地区」と呼ばれる

山里集落があちこちに点在しています。

その中でも立派な庭に土蔵や大きな古民家が立ち並び、

独自の生活文化と歴史を持つ笹原地区。

現在、土蔵に施されたユニークな「こて絵」が密集して

見られる地区として、その山里風景が注目されています。

 

今回はその山里風景の魅力や地域の文化を発信し続ける

笹原観光まちづくり協議会の堀内さん・武安さんにお話を伺いました。

 

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写真右側:堀内さん 左側:武安さん

 

 

笹原地区とはどんな場所ですか?

 

武安さん

江戸時代の始めに、甲州や佐久などの4つの地域から集まった

9姓11人の開拓者が新田開発をして始まった村です。

当時としては珍しく字が書ける人達が集まったので、

開拓当時からの家系図や記録が多く残っています。

厳しい自然環境で生きるために、皆で知恵を出し合い、

結束して独自の生活文化を育んできました。

 

 

 

 

 

独自の知恵や生活文化とはどのようなものですか?

 

堀内さん

各家の住居と畑の敷地を合議の元取り決め、水路を共有し少ない水を有効に使ったり、

農業をはじめ共同で事業を行ったりと皆で協力して生活をしていました。

 

また厳しい寒さを乗り切るため「むろ」と呼ばれる地下保存庫を設置し、

凍み豆腐や切り干し大根や漬け物など、食べ物を長期保存するために

色々な郷土料理も生まれました。

 

米や食料を保存する土蔵には「こて絵」とよばれる漆喰の絵が施されていて、

龍や亀などそれぞれの家の願いが込められたユニークな絵の数々も

笹原地区の山里風景の一部です。

 

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それは興味深いですね。

笹原地区の様子をもっと知りたい場合はどうすればいいですか?

 

武安さん

茅野市観光協会が提供する「ちの旅」に申し込みをしていただくと、

我々が笹原地区を歩きながら地区の歴史や、生活の様子や暮らしの知恵をご紹介しています。

こて絵や水路などは個人宅の敷地内にありますし、

現在は新型コロナ感染拡大の心配等もありますので、笹原地区を散策する場合は

「ちの旅」を通して申し込んでいただくようお願いしています。

 

 

 

 

 お二人はずっと笹原にお住まいなのですか?

 

堀内さん

私の生まれは笹原でしたが、長らく違う場所に住んでいました。

しかし親戚の家の跡取りがいないので継いで欲しいといわれ笹原に戻りました。

笹原地区の家は立派な造りの古民家が多く、

ご先祖様が頑張って建ててくれた家を守りつづけて欲しいと思う人が多いようです。

 

 

武安さん

私は福岡県生まれの千葉県育ちですが、

就職・結婚をきっかけに諏訪市に自宅を建て住んでいました。

定年退職後に、元々山登りが好きでどうせなら山を眺めて暮らしたいと思い、

あちこち土地を探していたところ、笹原地区の景色に一目惚れして

移住を決めました。家もログハウスキットを購入してセルフビルドで建てました。

 

 

 

 

それはすごいですね!!親戚もなく古い集落に移住するのは不安ではなかったですか?

 

武安さん

笹原地区の皆さんはとても仲が良く、しょっちゅう

地元の方同士で交流する機会があるので、すぐに打ち解ける事ができました。

そもそも村の始まりも移住開拓者からですし、合議のもと取り決める文化を

引き継いでいるので、閉鎖的で話が通じない雰囲気ではなく移住者でも

暮らしやすい場所だと感じています。

 

 

 

 

 これからの笹原地区に思う事はありますか?

 

堀内さん

せっかく素晴らしい知恵や文化がある地区なので、

このままずっと続いてほしいと思っています。

しかし高齢化や少子化のため人口が減り空き家も増えてきてしまいました。

出来ればこの笹原地区の風習に理解ある人が

移住してきてくれればありがたいと願っています。

 

 

武安さん

長い歴史を持つ古民家も壊してしまえばそれで終わってしまいます。

この歴史的価値を持つ山里風景を後世に残していけたらいいなと感じています。

 

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笹原地区を愛しているからこそこのまま残して行きたい。

というお二人の郷土愛が感じられるお話でした。

意外だったのはお二人がずっと笹原地区に住んでいた訳ではないということ。

他の場所に住んだ経験があるからこそ笹原地区の魅力を感じているのでしょうね。

 

 

いにしえの知恵と文化を継承する山里、笹原地区。

もし山里生活にご興味のある方は是非「ちの旅」で覗いてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

ちの旅のお申し込みはコチラ

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